インターTOMAS Web通信


2024.01.27 - 

Web通信 vol.4
「2024年度大学入学共通テスト英語リーディング講評


 
 大学入学共通テストは2021年から始まり、英語リーディング科目においては読解問題のみになったことは有名です。問題文の語数は年々増加傾向にあり、情報処理の速度が求められていることがわかります。
 

文章量の増加と一部の問いの内容によりやや難化の印象。
語彙には準1級レベルの単語が散見。

 
 全体的な語数の増加が今年も見られ、昨年が約6000語だったことに比べ、2024年度は約6300語今後も6000語以上の出題が恒常化したと考えてよいでしょう。
 
 ・本文の【客観的事実】と【意見】を区別する設問
 ・資料の空欄を埋める設問
 
 以上のようなこれまでにもあった読解傾向に加え、本年は「誤った選択肢を選ぶ」問題が多く出題され、選択肢を吟味するために、文章の内容を正確に把握する力が問われています。
 
 また、基本的には本文の内容を「要約」又は「言い換え」した選択肢が用意されていることがほとんどです。
 単語を覚える際には、英単語帳に記載されている日本語で覚える事に加え、単語そのもののイメージを捉えるようにしておく必要があります。
 
 
 以上の理由からも、80分で高得点を目指すためには【150 wpm】(1分辺り150語)相当で英語を読める速読力に加え、読み直しを最小限に抑えて本文や資料を基に論理的に情報処理を行う即解力が、当たり前に求められています。 
 
 この傾向は共通テストに限らず、私立大学の英語問題でも長文読解の割合の増加にも見られています。難関大学になるほど設問数も増え、表現や語彙の難解さも共通テスト以上に高まります。
 
来年度も総語数の増加は考えられます。
インターTOMASにおける英語の速読力・即解力強化を行う
各種音読を中心としたトレーニングセミバイリンガルメソッドは、
今後の大学受験の英語科目の攻略に欠かせないものとなるでしょう。
 


大問1

1-A:約280語
1-B:約370語
 
 掲示物から内容を読み取る問題。
 
 問題文に解答の箇所となるキーワードがあるので、どの部分を問われるのかを確認してから、すなわち選択肢を分析してから本文を読むと解答時間の短縮になる。
 設問を読み、問われている内容を把握してから本文に進む解答方法は速読即解では重要である。
 
 この難易度の段階から実践していきたい。
 


大問2

2-A:約370語
2-B:約520語
 
 チラシや意見文から内容を読み取る問題。
 
 大問ごとの設問が5問に増えたことに加え、「当てはまらない」選択肢を選ぶ問題と、資料の中から意見をくみ取る問題が出題されている。
 
 どの箇所で何を述べているかを正確に判断する力が問われている。
 


大問3

3-A:約350語
3-B:約510語
 
 ブログや新聞記事から時系列順に内容が進んでいく文章が出題。
 
 文章の全体的な流れや、本文の描写に該当する説明について問われる問題が出題される。文章の内容から解答を推測する=直接的な記述がない問題も登場するので、安易に本文と全く同じ表現の選択肢を選ぶと思わぬ失点となる。
 
 どの箇所で何を述べているかを正確に判断する力が問われている。
 


大問4

 約830語
 
 複数の資料から自作の資料を作成した設定で、空欄補充をする問題。
 
 総ワード数がかなり増加し、さらに前述の「当てはまらない」選択肢問題や当てはまる意見を抽出する問題も出題されている。
 
 本文を一気に読んでから設問にあたると情報の整理に苦戦すると予想されるので、設問で問われている箇所をそれぞれ把握した上で文章読解に取り組んでいきたい。
 


大問5

 約1220語
 
 物語文とそれに対する自作のメモ書きの空欄補充を行う問題。
 
 始めに物語の概説を問われる問題が出題されるので、後回しにしてもよい。登場人物が複数存在し、時系列が前後して描写されるのでよく注意して内容を理解していこう。
 
 メモ書きが文章の要約の役割を果たしているので活用していきたい。
 文中の具体的な行動が選択肢では抽象的な説明に変換されているので様々な語彙を理解しておく必要がある。
 
 文中ではbolder flavor(より強い風味)、 communicate their guilt(罪悪感が伝わる/わかる)、enviousなどの準1級レベルの単語や1つの意味だけ押さえているだけでは苦戦する表現も掲載されている。
 
 目標得点に応じて単語学習の質とペースを改めて考えてみよう。
 
 


大問6

6-A:約810語
6-B:約1040語
 
 それぞれ論理的な文章を読み解く問題。
 A、Bを合わせて25~30分で解答することが目標。
 
 6-Aは「時間の認識」、6-Bは「トウガラシ」についての文章を読み、資料に合致する内容を補充する形で解答する。ここでも資料の説明から内容の流れを把握してから、本文を読み進めることを勧める。
 
 boredom,drastic,lingering,retrieveなどの準1級レベルが登場する比率が上がり、中にはnumb finger(指のしびれ)といった解答に直結する表現も準1級レベルの単語が使用されている。スムーズに速読即解を達成するためには準1級レベルまで語彙力を仕上げることが必須である。
 
 receptor(受容体), tolerance(耐性)などの専門的な単語を全て知っておく必要はないが、英語を英語のまま理解しながら読解を進める感覚に慣れておこう。
 
 文章の内容から解答を推測する問題も登場するので、問われている箇所を文中から正確に見つけて的確に解釈する思考力が試される。解答に自信がないのであれば、不正解の選択肢がどう間違っているのか(本文と因果関係が逆転している・本文に記述がそもそも存在しないなど)を論理的に考え、消去法で消していくアプローチも練習しておこう。
 
講評:インターTOMAS市ヶ谷スクール 専任講師 杉山弘明